子どもの描く絵の不気味さなどは端的なタイトルや描写でよく表現できていた。
文章は平易で読みやすく、生理的な嫌悪感を刺激するのも上手い。担当の不潔な風貌など、非常にいやらしく書けていた。
スプラッタな描写でこれでもかと畳みかけてくるより、外堀からじわじわ埋めていくようなうそ寒さを感じる。
中盤(主人公が亡妻の部屋で例のアレを発見するまで)は怖かったのだが、それ以降のどんでん返しで少し冷めた。
青い顔の女の正体が実は……という展開は意外性があって面白かったが、え、そっち行くの??とカテゴリをスライドできなかった。幽霊が出てくるホラー路線と思いきや超自然な方向へ滑っていくので、そこで梯子を外されると「アレッ?」となる。
狭義のホラーにこだわらず、幽霊もクトゥルーもなんでもありな読者向け。
担当の行方など明らかにされてない謎も多く、ラストは後味悪い。
まあホラー小説は後味の悪さもウリなのだが、冒頭の記事を読み返すと、結局指輪は取り戻せておらず本文と矛盾が生じる。それともあの水死体は実は……と、考えれば考えるほど薄気味悪くなる。

















