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【お金じゃ自由にはなれない】
「お金」という人間なら誰でも扱うであろうものを題材にしているので感情移入しやすいし、サスペンスとしても重厚感のある作りになっている。はじめはちょっとした出来心だったのが、いつしか歯止めがきかなくなって、ついには破滅へと暴走していく。角田光代先生はこのような切羽詰まった女性の心理描写が実に巧みである。結局、梨花が本当に欲していたのは、お金では買えない自由だった。でも、その自由を手に入れるためにはもちろんお金が必要で。お金って、良くも悪くも人間を変えるし、稼ぎ方以上に使い方にその人の人間性が表れると思う。