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上野千鶴子氏の解説を加えたボーヴォワールの『老い』は、老いを単なる生物学的な現象ではなく、高齢化社会の構造を捉え直す貴重な機会を与えてくれる気づきの一冊です。
ボーヴォワールが描き出す老いの姿は、衰えや孤独だけでなく、新たな可能性や自由を孕んだものであると同時に、社会から疎外されることへの不安や、死への恐怖も伴う複雑なものでした。
上野氏の解説は、ボーヴォワールの思想を現代社会に照らし合わせ、私たちの老いに対する固定観念を揺さぶり、深く考えさせてくれます。
特に印象に残ったのは、老いに対する社会の差別や偏見が、いかに深刻であるかという点です。
若さや美を過度に重視する社会において、老いることは否定的な価値観と結びつけられがちですが、上野氏は、老いこそが人生の豊かさをもたらす可能性があると説きます。
この本を読んだことで、老いは決して悲観すべきものではなく、自分と向き合い、新たな人生を切り開くチャンスであると捉えることができるようになりました。
すべての人におすすめしたい一冊です。