大人気シリーズ。
人情味あふれる人形町での事件を追う
加賀
鋭い洞察力を武器に多くの事件を解決に導き
数多の加害者と向き合ってきた
犯人を探すために
しかし、加賀はこうも言っている
事件で傷ついている人を癒すことも刑事には必要だと
ともすれば警察は事件か解決すればいいと思ってる人ばかりかと思ってはいるが、こうした点からも加賀はいろんな視野を持った人なんだといえる
『新参者』は、日本橋という街そのものが一つの生き物みたいに立ち上がってくる小説だと感じました。殺人事件を扱っているのに、いちばん強く残るのは、煎餅屋や料亭や瀬戸物屋の、生活の匂いと人の温度でした。
一つ一つの店や家族にスポットライトを当てて、章ごとに小さなドラマが完結していく構成は、パズルというより、街の断面図を少しずつ見せられているような感覚でした。その断片が、最後に一つの真相へゆっくり収束していく流れがとても気持ちよかったです。
加賀恭一郎も、名探偵というより、日本橋に迷い込んできた大人の一人として描かれていて好ましかったです。嘘を責める前に、その人がそうするしかなかった理由にきちんと目を向ける姿は、事件を解くというより、心のほうをほどいていくようでした。
短編に近い構成で、各章ごとに異なる家族や商店、家庭の事情が描かれるため、事件と関係ないように見えるエピソードも含め、読み進めるごとに“点”が“線”となり、全体が一本の物語へと収束していく構成に感心いたしました。 
また、加賀刑事の人柄、冷静な推理だけでなく、人の悲しみや後悔、家族の繋がりといった“心の問題”にも寄り添う姿勢が非常に温かく、単なる犯人探しでは終わらず、「人とは何か」「助けが必要な人を守るとは何か」といったメッセージが胸に残りました。 










