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【自分が正しい、と思いはじめてきたら、自分を心配しろ】
日常と地続きの、静かで心地よい変化と気づきが魅力の本作。この作品での“出会い”は、「運命の赤い糸」というほどたいそうなものではない。わざわざつかみにいくものでもなく、決してドラマチックなものでもなく、何気ない日常のそこらへんに転がっているものとして位置づけられている。何より主人公の名前が「佐藤」という日本中どこにでもいる苗字なのが、すべてを物語っている。“出会い”と呼ぶには少し大げさであるささいな“縁(きっかけ)”から、それぞれがそれぞれの愛を育んで“出会い”を必然的なものに変えていく様は、とても温かく愛おしい。