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実際にあったグリコ・森永事件を思い起こさせる企業脅迫事件。時効を過ぎた事件を取り上げる特集のため、取材を命じられた文化部記者。
命じられて仕方なく始めた取材だったのに最後には真相にたどり着くクライマックスに、読み進めてきた達成感を感じた。これが縦軸なら、偶然発見した古いテープの子どもの声が、犯行グループのメッセージを読む自分の声じゃないのか、と疑惑を感じる関係者の家族が横軸になって、物語に奥行きを与えてくれている。
テープを見つけて戸惑う冒頭が読者を惹きつける。