はじめに目が留まったのは、黒い衣に身をつつむ美しい少女の表紙。
直感的に「面白そう」と思いました。
――後宮の奥深く、〈烏妃〉と呼ばれる妃が住んでいる。
物語はこの一文からはじまります。烏妃とは一体何なのか。
この作品の一番の謎であるこの問いに冒頭からスッと引き込まれました。
文章はとても丁寧で読みやすく、色彩豊かな描写で風景や衣装、食べ物まであらゆる生活を垣間見ることができます。
『後宮』のイメージがあいまいな私の頭にも次々とシーンが浮かんできました。
烏妃という存在は知りつつも、そのほとんどがはっきりとした正体を知りません。
ただ、ひとつだけはっきりとしているのは烏妃が不思議な術を使うということ。
ファンタジー好きには堪りませんね。作中には楽土にいけず彷徨う幽鬼が出てきます。
そんな幽鬼を救うため、ずっと人目を忍んで生活をしてきた烏妃がさまざまな過去や性格のある登場人物と出会っていきます。
その一人ひとりとの関わりは思わずクスッと笑ってしまいますが、しっかりとそれらが伏線となり、読み進めて行けば行くほどに目が離せません。そして、もちろん色恋も。
ファンタジーがお好きな方だけでなく、ミステリーや歴史など色んな要素がつまっている作品です。
あなたも一緒に烏妃の秘密に迫ってみませんか?