【土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて】をKindleで読了した。
本書の著者は土壌の研究者であり、元素や化学といった科学的な内容から、植物、農業、歴史まで、土に関する幅広いテーマが取り上げられている。
本書によると、世界の土は大きく12種類に分類されるという。地球上の岩石は、水や酸素、そして生物の働きによって分解され、砂だけでなく粘土へと変化していく。この砂や土、粘土は農作物を育てるだけでなく、ガラスなどの製品にも利用されている。
ここからは、本書を読んで特に印象に残った内容を紹介したい。
まず驚いたのは、カナダの永久凍土地帯であるイヌビックの話である。スーパーマーケットでは、しおれて茶色くなったハクサイが一束1800円、ホウレンソウが1000円、ダイコンが1400円、ナスが700円という高価格で販売されていた。
その理由は、土が凍結しているため農作物の栽培が非常に難しいからである。一方で、ブルーベリーは凍った土地でも育つため、無料で手に入るという。農業が困難な地域では、狩猟や採集が生活を支える重要な手段となっており、野菜が高価になる理由にも納得ができた。
また、土づくりには腐葉土だけでなく、それを分解する生物や、土を耕すミミズやアリなどの生き物が欠かせないことも学んだ。
アメリカでは、牛のふんを肥料として利用していたが、ふんを分解するフンコロガシが十分に機能しなくなったことで農地に問題が生じたという。その後、フンコロガシを導入したことで土壌環境が改善され、農業の発展につながった。この話から、一般的には害虫として扱われがちな虫たちも、農業においては重要な役割を担っていることを知り、とても印象に残った。
さらに、歴史上では肥沃な土地を巡って争いが起きていたことも初めて知った。これまで土地や資源を巡る争いは知っていたが、土そのものが人類にとって重要な資源であることを改めて実感した。
本書では、オキシソルという土壌についても紹介されている。オキシソルには鉄やアルミニウムが多く含まれており、そのアルミニウムはスマートフォンなどの製品にも利用されている。また、日本ではかつてアルミニウムを国内で生産していたが、その過程で発生する赤泥の処理が問題となり、現在では輸入への依存度が高まっているという。私たちが普段使っている製品と土が深く関わっていることに驚かされた。
また、黒ぼく土についても興味深かった。黒ぼく土は腐植を多く含む日本を代表する土壌であり、日本の農業を支えてきた重要な存在である。一方で、作物を育てるうえで課題もあり、それらを克服するための工夫が行われてきたことも知った。
さらに印象に残ったのは氷河に関する記述である。壊れかけの冷凍庫の壁の氷が大きくなり、内部の空間が狭くなる現象と似た例えが紹介されていた。私はこれまで、氷河が海へ崩れ落ちる映像を見ると温暖化による融解だと思っていた。しかし本書では、そのような映像だけでは氷河の状態を正確に判断できないことを知り、新たな視点を得ることができた。
本書を通じて、土は単なる地面ではなく、農業や産業、歴史、さらには私たちの日常生活を支える重要な存在であることを学んだ。普段は意識することの少ない土について、多くの知識と発見を得ることができた一冊であった。
その他にも興味深い内容は数多くあったが、とても書ききれないため、ここまでにしておく。





















