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弁護士の永遠子と、18歳年上の叔父(父の弟)との、許されざる関係を描いた物語。
「叔父と姪」という設定は、現実であれば受け入れがたく、忌避感を覚えるものかもしれません。しかし、ページをめくるうちにそんな常識が剥がれ落ち、物語の中にスルスルと引き込まれていく不思議な感覚がありました。そこにあったのは、歪みながらも、あまりに純度が高く美しい愛でした。
理解し合えない両親や、たしなみの延長のような過去の恋愛を経て、永遠子が自分に正直になったとき、本当に欲しかったものが何だったのか。
二人は、自分たちが社会的に許されないこと、決して「健全」とは呼べない関係であることを痛いほど自覚しています。だからこそ、深く惹かれ合い、寄り添い合う姿が切なく、胸に響きました。
タブーの先にある究極の愛の形を、どこか応援したいような、二人が共にある未来を期待してしまうような、不思議な高揚感を与えてくれる読書体験でした。終わり方も余韻があり、とても良かったです。














