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『ハサミ男』(殊能将之/講談社文庫)は、日本ミステリー史に残る衝撃作です。連続殺人犯「ハサミ男」が、模倣犯によって自分の手口で女子高生を殺されたことから始まる異色の倒叙ミステリー。犯人視点で物語が進むため、読者は真相を知っていると思い込みますが、最後の「どんでん返し」でその認識が鮮やかに裏切られます。論理的な構成と心理描写の巧みさ、そして完璧なトリックが融合した傑作で、日本ミステリーの到達点ともいえる一冊です。