東京からすべてを捨てて逃げてきた神戸。トーアロードに面したホテルに住み着いた「私」を待っていたのは、多国籍で訳ありな、一筋縄ではいかない人々との出会いでした。
時代は戦時下。非国民のハキダメのようなホテル。そこには物資の欠乏や閉塞感を吹き飛ばすほどの、強烈な個性がひしめき合っています。
嘘つきだけれど憎めないエジプト人のエルバ、誰よりも愛国心が強かった台湾出身の基隆、4年間を共にした波子、椅子直しの名人・王さん。そして、顔はぺちゃんこだけれど、なぜか「器量好み」な原井さん——。
登場人物たちの描写があまりに鮮やかで、次は誰がどんな騒動を起こすのかと、エピソードの面白さにどんどん引き込まれました。
戦争という時代の荒波に揉まれ、辛い別れも数多く描かれます。けれど、根底に流れているのは、損得抜きで繋がる人々の深い情愛です。
どん底の状況にあっても、人間はこれほどまでに人間らしく、面白く生きていける。悲惨なはずの物語から、不思議な生命力と温かさを受け取れる一冊でした。

















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