児童書のコーナーで、「『団地のふたり』の絵だ!」と目に飛び込んできた可愛い表紙。太宰治とこの柔らかな絵柄が結びつかず意外でしたが、読み進めてみると不思議としっくり馴染んでいくのが新鮮な体験でした。
児童書ということもあり、大きな活字、丁寧なルビ、そして親切な注釈のおかげで、名作が驚くほどスルスルと心に入ってきます。
太宰の作品は『人間失格』くらいしか読んだことがなく、『走れメロス』もあらすじを知っているだけでしたが、今回初めて全文を読んでその魅力を再発見しました。特に『失敗園』がとても可愛らしくてお気に入りで、「もっと読んでいたい」と思わせる魅力がありました。
一編一編が短く、あっという間に読み終えてしまいますが、読後感はとても豊かです。
「名作」と呼ばれるものは、あらすじだけで読んだ気になってしまっているものが多いですよね。あえて児童書で名作に触れ直すという読書スタイルは、新しい発見があってとても素敵だなと感じました。このシリーズの他の本も、ぜひ手に取ってみたいです。















