Kindleで『貧困と脳「働かない」のではなく「働けない」』を読了。
著者は病をきっかけに高次脳機能障害を患います。その経験を通して、過去に取材した『貧困女子たち』の女性たちの困難さと自身が直面している困難さを比較し、彼女たちが簡単なことをなぜうまくできないのかを代弁しています。
紹介される彼女たちは、勉強や仕事ができるエリートであるにもかかわらず、簡単な書類作業やお金の計算がうまくできないといったエピソードが綴られており、読んでいて不快感や苛立ちを覚える場面もあります。
しかし、著者が高次脳機能障害を経験したうえで解説すると、これらの困難の深刻さがより伝わってきます。
脳の障害では、脳が通常よりも早く疲労し、すぐに「シャットダウン」の状態になってしまうことがあります。
こうした当事者ならではの苦痛や苛立ちの心境を丁寧に描写しています。
本書を通して彼女たちは「働けない人」ではなく、脳や心理の不可視な困難を抱えていることを深く理解できました。
また、自らの困難に直面しつつも模索して生きる姿や、目に見えない隠れた問題が描かれていることも実感しました。
















