「スクールカースト」は中学生の学校適応に実際にどのように影響しているのか。
生徒の心理的不適応感を低減するには、どのような学級をめざすべきか。累計7000人の中学生を対象にした大規模な実証研究から迫る。
●著者紹介
水野君平(みずの・くんぺい)
北海道大学大学院教育学院博士後期課程修了。博士(教育学)。
現在,北海道教育大学旭川校准教授。
主著に,『あなたの経験とつながる教育心理学』(分担執筆,ミネルヴァ書房,2023),『教育問題の心理学』(分担執筆,福村出版,2022),『はじめての発達心理学』(分担執筆,ナカニシヤ出版,2022)など。
1 「スクールカースト」とは何か
1節 はじめに
2節 研究1:学級・学校内における社会的地位に関する研究の展開
3節 「スクールカースト」とソシオメトリック人気,認識された人気,群衆との差異
4節 第1章のまとめ
コラム1 なぜ「スクールカースト」研究を行おうと思ったのか
2 先行研究の課題と本書の目的
1節 先行研究から得られた課題と本書の目的
2節 本書の構成と全体の目的
コラム2 児童生徒を対象に調査研究することの難しさ
3 「スクールカースト」はどう捉えられているのか
1節 研究2:青年を対象とした「スクールカースト」の基礎的検討
2節 本章のまとめと残された課題
コラム3 日本の中学校が持つユニークなところと「スクールカースト」
4 「スクールカースト」は生徒の社会的適応と関係するのか
1節 研究3:グループ間の地位といじめ被害・加害の関連性
2節 研究4:グループ間の地位といじめ被害・加害,被害後の行動,被害の解決度の関連性
3節 本章のまとめと残された課題
コラム4 中学生と高校生で「スクールカースト」の影響は違うか
5 「スクールカースト」は生徒の心理的適応に関連するのか
1節 研究5:グループ間・内の地位と学校適応感の関連
2節 研究6:社会的支配志向性を媒介したグループ間の地位と学校適応感の関連性
3節 本章のまとめと残された課題
コラム5 学級に適応することと学校に適応すること
6 どのような要因が「スクールカースト」の悪影響を弱めうるのか
1節 研究7:グループ間の地位と学校適応感の関連における学級間差
2節 研究8:「適応の支え」に着目したグループ間の地位と学校適応感の関連性
3節 本章のまとめ
コラム6 「スクールカースト」の影響は授業にも及ぶのか
7 本書を通して明らかになったこと
1節 各章のまとめ
2節 「スクールカースト」研究に対して何が言えるか
3節 仲間関係研究に対して何が言えるか
4節 学校適応研究に対して何が言えるか
5節 本書の意義と教育実践に対する示唆
6節 限界点と展望