以前続編が平積みになってるのを見かけて惹かれたのだが、一巻目が見当たらなかったので買うのを断念したシリーズ。
書店は最新刊だけ並べるのでなく、既刊もそろえていてほしい……(何十冊とでてるなら別だが、当時はまだ二冊目だったし)
今回は漫画家が帯と表紙を描くフェアに便乗して購入。リボーンの天野明さんのジャズ、ワルっぽくてかっこいいですね。ニヒルな表情がイイ感じ。
三桁の犠牲者を出した全米ナンバー1のスーパーシリアルキラーを父にもつ主人公ジャスパー。
彼が住む田舎町ロボズノットで殺人事件が起こり……
という話。
ミステリーと青春要素でいうなら、後者の比重の方が大きい印象。ジャスパーは生い立ちこそ特異だが、「親に刷り込まれた自分像からの脱却」という普遍的な自立のテーマは、現代を生きる全てのティーンエイジャーに通底しているのではないか。
口が達者で冗談好きな血友病の親友・ハウイーに、善良で活発な黒人ガールフレンド・͡コニ―など、人間関係は恵まれている。
恋に友情に将来に悩むジャスの姿は、青春の王道ともいえる。
三人で集まり作戦会議を開いたり隠れ家でいちゃついたりと、ヤングアダルト小説ではある意味お約束といえるエピソードが盛り込まれている。
ジャズを見守り導く保安官や認知症の祖母にゲスな記者など、周囲の大人も個性的。
父親を超える殺人鬼となるため幼少時から英才教育を受けてきたジャスパーは、常に自分の中の父親の部分と戦っている。
自分にできることを理解し、それをしないでいるために常に誘惑を律し続ける彼の葛藤が身に迫ってくる。
父親であるビリー・デントの不気味な存在感や人を操る巧みさも必見。
ブラフと嘘をまじえた父子の駆け引きには緊迫感がある。
ジャズの良心を代表するハウイーとコニ―は、ともすると暗く重くなりがちなストーリーに日常的な明るさを添えてくれる。
ジャズをシリアルキラーの息子やその父親のコピーではなく、ジャスパー・デント個人として愛し尊重する二人の存在には救われる。
真犯人っぽい人物は序盤で何人か登場するが、その真相は見抜けなかった。
今後ジャズが父の呪縛を断ち切って未来を掴み取れるのか、コニ―との関係はどうなるのか楽しみ。

















