古来より、私たちはことあるごとに神に頼ってきました。
受験・就職・結婚ーー
みなさんもこういった人生の節目に、神社にお参りに行った経験があると思います。
しかし、神は万能ではありません。
『神は人の敬いによって威を増し、人は神の徳によって運を添う』
この言葉のとおり、人間と神はお互いに高め合い、支え合う存在なのです。
時は現代。人生に挫折し、自堕落な生活を送る萩原良彦は、亡くなった祖父から預かったという『宣之言書』をとある老人から託されます。
そして良彦は、かつてのような力を失ってしまった神の御用を聞いて回る『御用人』に任命されるのです。
神である狐の黄金とともに、全国の神々を訪れる旅が幕を開けます。
良彦と黄金のテンポ良い会話はクスっと笑えるところもあり、読書に不慣れな方でも読みやすいです。
古事記に登場する日本の神々や伝統的な祭事についての記述も多く、学びの多い一冊だと思います。
神にも悩みがあり、生きていれば苦しいこと、悲しいことがたくさんあります。
良彦が神々のために奔走する姿は、きっとみなさんの心を晴れやかにしてくれるはずです。良彦のがむしゃらで優しい性格に、私も心があたたかくなりました。
みなさんもぜひ、良彦と旅にでてみては?