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『方丈記私記』(堀田善衛)は、鴨長明の『方丈記』を素材に、著者自身の視点や体験を交えて自由に論じた随筆的評論である。無常観や孤独、自然との関わりなど、長明の思想を現代的に咀嚼しつつ、著者の人生観や文学観とも重ね合わせている。単なる解説書にとどまらず、読者自身の生き方や考え方を考えさせる深い洞察に満ちた一冊である。
1945年3月、東京大空襲のただなかにあって、著者は「方丈記」を痛切に再発見した。無常感という舌に甘い言葉とともに想起されがちな鴨長明像はくずれ去り、言語に絶する大乱世を、酷薄なまでにリアリスティックに見すえて生きぬいた一人の男が見えてくる。著者自身の戦中体験を長明のそれに重ね、「方丈記」の世界をあざやかに浮彫りにするとともに、今日なお私たちをその深部で把えて放さぬ伝統主義的日本文化を鋭く批判する名著。毎日出版文化賞受賞。
『方丈記私記』(堀田善衛)は、鴨長明の『方丈記』を素材に、著者自身の視点や体験を交えて自由に論じた随筆的評論である。無常観や孤独、自然との関わりなど、長明の思想を現代的に咀嚼しつつ、著者の人生観や文学観とも重ね合わせている。単なる解説書にとどまらず、読者自身の生き方や考え方を考えさせる深い洞察に満ちた一冊である。