ありがとう
0
家族のように一つ屋根の下で暮らす登場人物たちが織りなすサスペンスは、どこか不穏で、心の中で疑念が渦巻きます。酒本歩さんの筆致が巧妙で、何気ない日常の中に潜む危険をひとつひとつ丁寧に描いていて、気づけば自分もその世界に引き込まれていました。
殺人という衝撃的な事件が中心にあるけれど、物語はその裏に隠された人間関係や心理描写が非常に深い。最後の展開には驚きとともに、思わず息を呑みました。全体的に謎解きの面白さと、登場人物たちの人間ドラマが見事に絡み合った一冊でした。