読了後は圧倒的な衝撃が襲いかかるミステリー。様々な賞を総ナメしているのも頷ける、素晴らしい作品。推理をしなければならない動機づけをしっかり描いている点等有栖川有栖氏が言及するように「後期クイーン問題」を解決するような物語展開と圧巻のラストはただただ拍手を送るのみである。
あちこちで絶賛の紹介文を見かけたのでワクワクしながら読みましたが、ミステリーとしては期待を下回りました。
作中の推理に関わる誘導もですが、舞台装置もあからさま。
そのせいで、メタ的に読むと、わりと予想しやすい範疇のタネ・仕掛けとオチ。
ただ登場人物たちになったつもりで読めば、一連の流れとオチは、状況的に仕方のないことだという納得感はあります。
事件が起きた環境が環境なので、最後まで緊張感が付きまとうところもよかったです。
いわゆる「クローズドサークル」もの。
山奥の廃墟に閉じ込められた7人のグループと1つの家族、という設定は新しいかも。
閉じ込められて出られない状況に加え、タイムリミットのある状況で何とか自分(だけ)は助かることができないか、という切迫感からドキドキしながら読み進むことになる。
「クローズドサークル」では後から意外な犯人が現れて、ということもないので、意外な結末で読者を満足させるのは難しいところだが、廃墟の特殊な構造がストーリーに活かされていることに納得の幕切れだった。
一周目
読みながら予想していた結末はどれも外れた。
たしかに、あの点には全く気づかず、「変わらない事実」としてしか認識していなかった。
エピローグを読んだあとの心情を表す言葉が見つからない。
二周目
全てを知った上で犯人目線で読むと、一見理屈の合わない殺人や意味のなさそうな言動も、すべて目的のために繋がっているのが秀逸。
エピローグは再読でもなお面白いし、怖い。










