人間の持つ複雑な感情や矛盾を鋭くえぐり出した物語でした。登場人物たちはそれぞれ、自己中心的な部分と優しさを抱えながら生きていて、そのバランスがリアルに描かれています。タイトル通り、傲慢さと善良さがぶつかり合う中で起こるドラマに引き込まれ、誰もが完璧じゃないということを改めて感じさせられました。重たいテーマながらも、登場人物たちの人間らしい姿に共感できて、読み終わった後も考えさせられる作品です。
心につき刺さる!!
この作品は、恋愛小説なのか、ミステリー小説なのか、読んでる途中に考えていた。
しかし、読み終えてみると、もっと大きなくくりの小説なんだと思った。
何気なく生活している中で、人それぞれの考えがあり、悩みがある。そんなことを明らかにして、読み手に突きつけてくる。特に恋愛や結婚ということになれば尚更かもしれない。自分の本当の気持ちを明らかにせざるを得ないよと、問いかけられた気がした。
坂庭真実が逃避先で「私も行けるかな、次の場所」とつぶやいた。
つい「行けるよ」と言いたくなった。
解説が朝井リョウというのもおもしろい。
辻村深月を読むのは、『ツナグ』に続いて2作目になる。まだまだ読み足りない気がしている。
もうすぐ結婚をひかえている、ある2人の恋人の物語
登場人物は真実と架、ある日突如居なくなった真実
それを必死に探す架の話。探しているにつれ、真実の抱えていた悩み、真実と関わりのある人物、家族、友人、そして架自身、自分たちが真実を悩ませてしまったこととは何だったのか。この物語を読んだ時、自分もまた周りの人に同じことをしていないか考えさせられた。良き成長を施す物語となっている。