短編構成になっていて、全ては一つの絵で繋がれていると思っていました。しかし、最後まで読んでみると、店と点が線となり全てが繋がっていることがわかりました。それぞれの想いがつまり心があったかくなるようなそんな物語でした!
色彩や絵画の世界を通じて、人の心の揺れや複雑な感情を繊細に描いた作品でした。主人公たちの間に流れる微妙な距離感や、言葉にできない想いがまるで絵の具のように重なり合っていて、読むたびに新しい発見があります。芸術と人生が絡み合う物語で、静かな情熱と切なさが混ざり合った独特の空気感が心に残りました。美しい表現が多く、じっくり味わいたい一冊です。
青山美智子の小説を読むのは2作目となる。1作目に読んだ『お探し物は図書室まで』が最高に良かった。この作品でも、また感動できたら良いと思って読み始めた。
構成は、プロローグ、4話の本編、エピローグからなる短編小説になっている。
1話、2話まで読んで、普通に良い小説だなと感じた。ただ『お探し物は図書室まで』と比べると、少し物足りない気もした。
でも、3話目を読んで、ギクッとして、4話目を読んで、ドキッとして、そしてエピローグを読んだら、感動が爆発した!
2話目まで読んで、普通に良い小説と言ったが、訂正したい。この『赤と青とエスキース』は最高に良い小説だった。
タイトルにある、赤と青の色をうまく表現して描いている。近づいたり離れたりする登場人物の人間模様を、赤と青が織りなすように、1枚の絵画を完成するように描いている。芸術的な小説だ。
エスキースとは下絵のことだという。本番を描く前に構図を取るデッサンみたいなもの。読み終えてエスキースという言葉を選んだ意味が分かった気がした。
登場人物それぞれには、仕事、恋愛、人生、身体に、いろいろな悩みがる。倒れそうになると、背中をうまく支えながら、柔らかく前に押してくれる。こういう描写がとても上手い。青山美智子独特の描写と言っても良いだろう。
青山美智子は、とても素敵な作家だと、改めて思った。これからもたくさん作品を読んでいきたいと思う。