【いずれすべて朽ちる。そうであればなるべくおいしいところを選んだほうがよい】
くどうれいんさんは、なんて好きなこと(食べる)を楽しそうに可愛らしく言語化できる方なんだろう!好きな食べ物を読み手の五感に響くように美味しそうに描く方は数多くいるけれど、本作ではそれを愛でて美味しく食べてにっこりしているれいんさんの表情までしっかりと伝わってくる。読んでいる私まで思わずにやけてしまうほど、楽しい読書体験ができたエッセイでした。すべてのエピソードがおすすめなので、お気に入りを選ぶのも難しいほど。あぁ…お腹ペコペコ!
くどうれいん『桃を煮る人』は、日常の中に潜む美しさを見つめるエッセイ集。
さまざまな食べ物にまつわる記憶から、季節や時間、人との関わりの中で生まれる温もりが丁寧に描かれ、詩的な言葉が心に響きます。忙しい日常に埋もれがちな感覚を呼び覚まし、読み手の心を静かに満たす本でした。