少なくとも三島由紀夫は、彼が亡くなる昭和45年(1970年)を含めて、それから過去7年の間、毎夏家族と一緒に伊豆の下田に逗留していました。海が好きだった三島でしたが、彼はとくに下田の海を愛していました。
下田では、三島は地元の人々と親しく交流をし、また下田の人々も彼を特別視せず、たとえば橋の上で独り闊歩している三島に出会ったりすると、「やあ」という感じで気軽に話かけていたそうです。下田人の気質でしょう。
下田には鎧を脱した、ある意味本当の三島由紀夫の姿がそこにあります。
三島由紀夫は下田の色々なお店で彼の楽しいひと時を過ごしていますが、
「日新堂菓子店」
というお店のマドレーヌ。このマドレーヌを三島は「世界に誇れるマドレーヌ」だと評し、下田に滞在中は度々来店し、買っていかれたとのことです。
ときに三島は彼を訪ねてきた仕事関係の人々や「楯の会」のメンバーたちのために大量買をするのですが、いつでも決まって歩いて来て、店主たちと談笑をし、そしてその重たいマドレーヌを「よっこら」と両手に抱えて歩いて帰られたのだそうです。「身体が鍛えられるから」と言って。
この「日新堂菓子店」の店主が、上記のエピソードも含めて三島由紀夫との数々の思い出を綴ったのがこの本です。
三島由紀夫の諸作品は無論のこと、彼の魅力は誰に対しても優しく丁寧で、そして上品な人柄にあります。
この本は三島由紀夫ファン必読の本です。














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