全国の小児病棟などで「出張プラネタリウム」を行っている著者が語る、星や宇宙に興味を持ったきっかけや、科学館で働いているときの思い出、プラネタリウムに興味を持ったきっかけや、現在の仕事について描かれています。
著者が自身の生き方や、出張プラネタリウムの活動から得た体験を通して、星や宇宙の魅力、「気持ちを込めた仕事をすることの大切さ」について優しい口調で書かれていました。
また、章の合間には「星空散歩」と題してオーロラや星座など、章内容に関係ある解説が見開きで書かれています。
途中からはプラネタリウムで行っていた「質問コーナー」に寄せられた質問に著者が答えるコーナーもあり、様々な視点から星や宇宙について興味を持てる作りになっていました。
プラネタリウムで戦時中の人々の姿を描いたことや、目が見えない人でも星空を楽しめるような活動を当事者と一緒に行ったこと、出張プラネタリウムで出会った子どもたちの様子などを通して、世の中には多様な環境と人の暮らしがあることを知ることができます。
高学年の子であれば、「気持ちをこめた仕事」につながるような好きなものはあるか、自分の好きなものを他の人にも楽しんでもらうにはどうしたらいいか、などを考えてもらうのもいいかもしれません。
読書を通して、他者と体験や感情を共有できる活動への興味が自然と育まれていくと思います。
イラストは、柔らかな輪郭線と濃淡で描かれており、著者の語り口にあった優しい雰囲気が感じられます。
また、巻末には出張プラネタリウムの様子やオーロラや星空の写真が掲載されており、実際の活動や星空のイメージももちやすくなっています。
24時間、コンビニや街頭などで、ある程度の明るさがある住宅街に住んでおり、夜空を見上げる事も少なくなっていましたが、たまに見上げた時の月明りや星の輝きを綺麗に思う気持ちを大切にしたいと感じました。