経済学の理論を深く掘り下げた一冊で、特に市場支配力指数という新しい視点に触れられるのが興味深かったです。市場の競争環境を測る指標としての指数の重要性や、それが実際の政策や企業戦略にどう影響するのかが具体的に示されています。難解な部分もありますが、実務的な視点で経済を考える上で非常に参考になり、今後の市場分析に役立ちそうだと感じました。経済学を学んでいる人や、企業戦略を考える人には特におすすめです。
「競争」の持つ歴史的、経済社会的な意味を正確に捉える、不完全競争に立脚した分析枠組み「市場支配力指数アプローチ」を提示。
従来の完全競争をベースとする経済学の枠組みを越えて、不完全競争を前提とし、完全競争と独占は、不完全競争のそれぞれの両極端の特殊ケースとして包含することで分析を展開できることを説得的に主張。「市場支配力指数アプローチ」という経済学における新たな理論的視点を提示する。
はじめに
第1部 市場支配力指数アプローチの基礎
第1章 市場支配力指数アプローチによる不完全競争の導入
1.1 市場支配力指数を用いた不完全競争価格の決定の論理
1.2 「集約的企業」の想定について
1.3 産業=集約的企業の限界費用曲線について
1.4 市場支配力指数アプローチの望ましさ
第2章 市場支配力指数のミクロ的基礎および発展的概念
2.1 企業の行動仮説に基づく市場支配力指数のミクロ的基礎
2.2 「推測的変動」概念との関係
2.3 生産者余剰の別表現
2.4 簡便な非対称性の導入
第2部 課税・広告・金融への応用
第3章 不完全競争的な財市場における物品課税問題
3.1 パス・スルーとは何か
3.2 完全競争の場合
3.3 不完全競争への拡張
3.4 図示による理解
第4章 広告戦略と金融市場
4.1 ドーフマン=シュタイナー公式の一般化
4.2 広告活動のモデル
4.3 「共感係数」に基づくミクロ的基礎
4.4 モンティ=クライン・モデルの拡張:金融市場のモデル
第3部 競争政策と消費者政策への応用
第5章 競争政策・消費者政策を考えるための展開
5.1 「限界原理」vs.「平均原理」
5.2 独禁法学上の概念との関係
5.3 数値例
5.4 「規模の経済性」の導入
第6章 水平的合併への応用と消費者政策への基礎づけ
6.1 価格上昇圧力と厚生増加促進的効果
6.2 企業結合における価格基準との関係
6.3 限定合理性
6.4 情報の非対称性
第4部 垂直構造と一般均衡への展開
第7章 垂直的取引関係
7.1 小売価格pが企業と消費者による交渉で決まる場合
7.2 卸売価格wが伸るか反るかの提案で決まる場合
7.3 卸売価格wが上流企業と下流企業による交渉で決まる場合
7.4 小売市場における拮抗力
7.5 共通小売チャネルのナッシュ交渉解における価格弾力性とパス・スルー
第8章 不完全競争と一般均衡
8.1 問題の所在
8.2 不完全競争の一般均衡モデルで考える競争政策の意義
8.3 まとめ
結 語
あとがき
参考文献
索引
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