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十七歳の主人公、彩美は、母親に突然香港へ連れて行かれ、そこにいないと思っていた父親がいることを知ります。
実際に会ってみたものの、父親としての実感は持てません。しかし彩美は、自分が父親を求めていたわけではなく、うまくいかないことを「父親がいないせい」にしていただけだったのだと気づきます。彼女は、父親としてではなくロイという一人の人としてなら会いたいと決断します。
その後、香港へのホームステイを決めた彩美が、香港の街並みや、現地の人たちとの触れ合いを満喫する様子が素敵でした。香港の人々の、そっけないけれど優しい対応が心に響きます。もしかすると、日本人は色々とごちゃごちゃと考えすぎなのかもしれないと感じました。
非常に読みやすくてスルスルと読めるのですが、読後には色々と考えさせられ、心がじんわりと温かくなります。自分自身のあり方を見つめ直すきっかけをくれる、良い作品でした。












