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第18回岸田國士戯曲賞受賞を経て、同名の戯曲集として刊行されました。熱海で起きた平凡な殺人事件を、自意識過剰な主人公刑事が自分好みの劇場型犯罪に作り替えていく理不尽な物語。戯曲ならではの、少ない登場人物による複雑で濃密なストーリー構成は傑作の名に相応しいものです。
上司には慇懃、部下には横柄な、くわえ煙草伝兵衛刑事。捜査に凄腕を見せる彼は、すこぶる評判がいい。だが、軽率にも、民百姓の悩める心を救うのが天命だと信じ込んでいる。ブス殺しの容疑者大山金太郎は、彼にとっては手強いやつだ。なにしろ、立派な犯人になるための“自白道”をしこまれているからだ。伝兵衛も「ブス一人殺すのに、いちいち動機なんていらねえナ」とゴマ塩頭をかきむしり、取り調べも荒っぽい。出戻りで色気のない婦人警官のハナ子と新米刑事の留吉の助けをかりて、珍妙無類な捜査室での丁々発止。金太郎の“醜女殺しの汚名”は晴れるのだろうか。
第18回岸田國士戯曲賞受賞を経て、同名の戯曲集として刊行されました。熱海で起きた平凡な殺人事件を、自意識過剰な主人公刑事が自分好みの劇場型犯罪に作り替えていく理不尽な物語。戯曲ならではの、少ない登場人物による複雑で濃密なストーリー構成は傑作の名に相応しいものです。