読みやすいのに社会が見えてくる 垣谷美雨の名作6選|痛快で刺さる代表作
垣谷美雨の作品は、誰もが普段何気なく過ごしている社会と、さまざまな人間の生きざまをリアルに描いています。軽やかな筆致で描かれる話が、じわりと考えさせられる点は彼女の作品の魅力の一つ。劇的な展開よりも、人々の日常に潜む深淵を明らかにしてくれます。舞台は学校や職場、家庭といった身近な場所。一見平凡な日常の中に潜む痛々しさや痛快な娯楽性を描いていきます。一作読み終えると、まるで自分がその登場人物になったかのような感覚になることでしょう。心地よい読み応えと刺激的な内容、そして前述したような社会の現実を垣間見せてくれる垣谷美雨の作品を、ぜひ体感してみてください。
『空き家と移住』
「何も私は芸能人やセレブが住む高級なタワーマンションを買おうっていうんじゃないのよ。庶民的な小さなマンションでいいの。その程度の物件も買えないって、この世の中はどうなってんの?」大学受験を乗り越え、正社員として勤めている史緒里と大河。贅沢もせず真面目に暮らしているのに、都内にマンションの一つも買えないことに、史緒里は怒りとため息を抑えきれない。そんな時、都内の一等地には空き家が増えているというニュースが流れてきた。駅チカの家なのに、誰も住まずに朽ち果てていくなんて……。二人が早速、空き家の見学に行くと、近所の老婦人が話しかけてくる。隣の一軒家に一人で暮らし、日々の食事も宅配のお弁当ですませているという彼女に同情した二人は、その家の雑務をこなしたり、食事に誘うようになる。やがて彼女から、あなたちのような人に、この家を譲りたいと言われるようになり……。一方、母が暮らしていた田舎・風穂町の実家の処分に思いを巡らせていた星野路代は、実家の売却を決め、地元で同級生が営む不動産会社を訪れる。そこで思わぬ販売価格を聞いた彼女は、夫とともに海外旅行の計画を立て始める。優雅な生活を夢見る路代だが、いつまで経っても購入者は現れず、何度となく販売価格を下げてく。同時に、ブログで田舎の良さをアピールしようと、様々な工夫を凝らしていく。そんな折、この家の購入に興味を持った史緒里と大河から連絡を受けるのだが……。『老後の資金がありません!』の著者が描く、真面目でコミカルな現代住宅事情。
| 作者 | 垣谷美雨 |
|---|---|
| 価格 | 1980円 + 税 |
| 発売元 | 朝日新聞出版 |
| 発売日 | 2026年05月07日 |
『絶縁病棟』
切るべきなのは病巣でなく人間関係!
神田川病院の桐ヶ谷キワミ医師は三回の離婚で人生を考え直し、趣味を謳歌しながらアルバイトとして働いている。
ある日、外来を訪れた七十代の患者・熊野佐奈枝は、女性医師が担当でないと嫌だと言う。「いい歳をして自意識過剰だ」と鼻で笑う部長に“時代遅れ”だと反論するキワミ。部長から譲り受けた聴診器を使うと、佐奈枝の体調不良の意外な原因が明らかに・・・・・・!?
裕福なネイルサロン経営者、夫の両親が建てた家で家事のサポートも受けて暮らす会社員。人から羨まれるような人生を送る女性たちの“見えざる不調”の理由とは。大反響「病棟」シリーズ第四弾。
【編集担当からのおすすめ情報】
”心の声”がきこえる不思議な聴診器を通して明らかになる、女性たちの悩みとは?
他人からは理解してもらえない”生きづらさ”に寄り添い、自分らしく生きるためのヒントをくれる一冊です。
| 作者 | 垣谷 美雨 |
|---|---|
| 価格 | 759円 + 税 |
| 発売元 | 小学館 |
| 発売日 | 2025年10月06日 |
『マンダラチャート』
六十代の主婦・雅美は、大谷選手が書いたマンダラチャートを真似て、マス目を埋めてみる。
もし、人生をやりなおせるならば、「女性が胸を張って生きられる世の中にしたい」。
そう記した途端、雅美はマンダラチャートに飲み込まれ、中学生に戻ってしまう……。
同じくタイムスリップした、かつての憧れの人・天ヶ瀬とともに、昭和の古くさい価値観を変えようと、奮闘する雅美だが……。
| 作者 | 垣谷美雨 |
|---|---|
| 価格 | 2068円 + 税 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2024年11月20日 |
『もう別れてもいいですか』
| 作者 | 垣谷,美雨 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 中央公論新社 |
| 発売日 | 2024年10月 |
『あきらめません!』
| 作者 | 垣谷,美雨 |
|---|---|
| 価格 | 不明 |
| 発売元 | 講談社 |
| 発売日 | 2024年09月 |
『墓じまいラプソディ』
「夫の墓には死んでも入りたくない」義母の遺言から始まった墓問題。それは親類や子供たちを巻き込み、墓の必要性などを考えるきっかけになっていく。「遺骨は燃えるゴミで」と言いたくなるほど面倒な、明日は我が身の墓騒動小説。
| 作者 | 垣谷美雨 |
|---|---|
| 価格 | 1760円 + 税 |
| 発売元 | 朝日新聞出版 |
| 発売日 | 2023年12月20日 |
おそらく、紹介した作品をあなたが手に取る時、そこに広がる世界観に抱きしめられることでしょう。垣谷美雨の作品は、何気ない日常の中に潜む社会の裏側を巧妙に表現し、読者に深い共感を呼び起こす力を持っています。極北の地から都会の喧騒まで、彼女の作品が描く風景は、どれもが本当に存在しそうな現実感に溢れています。
そしてその風景の中で活き活きと描かれるキャラクターたちは、まるで自分の友人のように思えてくるほど真っ直ぐで人間らしい。彼らが繰り広げるドラマは、時には笑わせてくれ、時には涙を誘い、時には深く考えさせてくれます。垣谷美雨の世界は、まるで遠くの風景をよく知る友人から手紙をもらったような温かさとともに、我々の心に届きます。
また、彼女の作品はその読みやすさが魅力の一つです。複雑なテーマを丁寧に、しかし垣谷美雨独自の視点で描き出すことで、誰もが簡単にその世界に入り込むことができます。そして、その手に取った作品を静かに閉じたとき、あなたの視野は確実に広がっていることでしょう。
今回ご紹介した作品は全て魂を揺さぶるものばかり。手に取る方の心に、何かしらの変化や思いを運ぶことができれば、それは何よりの喜びです。上質な空の時間をあなたに、そして垣谷美雨の作品が胸のどこかで鳴り響いてくれることを、心より願っております。これからもあなたの読書ライフが充実することを願って、引き続き素敵な作品をご紹介していきたいと思います。
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