「チチスベオ イタリアにおける私的モラルと国家のアイデンティティ」は、個人の倫理観と国家的アイデンティティの緊張関係を鋭く描き出しており、非常に示唆に富む作品でした。イタリアの歴史や文化背景を踏まえつつ、私人の道徳と公共の価値観の衝突を丁寧に分析しており、現代社会における個と国家の関係を考えるきっかけになります。読後には、個人の選択が社会や国家にどのように影響するかを深く考えさせられました。
「チチスベオ」は、18世紀のイタリアで、夫の同意のもと既婚貴婦人に付き従い、助ける任務を負った「付き添いの騎士」のこと。正式な夫妻の生活に割り込む特異な存在だが、その役割は組織化された三角関係の中で公然と承認されたものだった。しかし、複数の国に分かれていたイタリアが「統一国家」へと劇的に変貌する過程で彼らはその姿を消した。本書は、当事者や関係者の証言、日記、回想記、旅行記、文学や絵画作品など精査し、その歴史を探訪する。口絵付き。
1 序論──チチスベオとは何者だったのか?
2 啓蒙主義の世界で
2.1 チチスベオたちの社交サロン
2.2 チチスベオ、およびこれに類する者たち
2.3 監視か自由か?
2.4 無害な敵
3 十八世紀の社会で
3.1 独身男性とチチスベイズモ
3.2 同盟の論理
3.3 三角関係
4 チチスベオの地政学
4.1 都市貴族のなかのチチスベオ
4.2 その他のチチスベオ
4.3 コンパーレとチチスベオ
5 性愛
5.1 チチスベオと愛人
5.2 啓蒙主義的結婚
5.3 高貴な生まれ
6 追放されたチチスベオ
6.1 「滑稽な称号」
6.2 拒まれた三角関係──テレーザとフェデリーコ
6.3 国家のための家族
訳者あとがき
注
人名・地名索引
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