表紙が華やかな本作『カーテンコール!』は、推理小説を書くことの多い加納朋子さんの作品です。
舞台は、閉校が決まった私立萌木女学園。
最後の年で、卒業できなければ大学中退ということになってしまうにも関わらず、単位不足の生徒が何人も出てしまいました。
彼女たちをなんとか卒業させるために始まった特別補講合宿で、様々な物語が繰り広げられます。
コミュ障や腐女子に寝坊魔などなど、単位を落とすべくして落としたような生徒が集結しているのですが、
彼女たちの様々な事情を垣間見つつ、自分の問題を受け入れたり乗り越えたりする姿にはこちらも勇気づけられます。
また、合宿を開いて彼女たちをサポートする理事長も魅力的な存在です。
落ちこぼれがこんなに出てしまって…と嘆く様子を見せながらも、どこか楽しそうなお爺さん理事長。
狸などと言う生徒もいますが、それでも慕われているのはその懐の深さや温かさが感じられるからなのでしょう。
最後の卒業挨拶のシーンは必見ですよ!
構成は連作短編集なので、1話ずつ読み進められます。
それから作者は推理小説作家でもあるため、時折読み手を騙すような書き方をしている部分もあります。
そこがまた面白いポイントです。
いつ読んでも素敵な作品ですが、やる気のなくなってしまった時や落ち込んだ時に読むと、より一層心に沁みるかもしれませんね。