白泉社電子書籍大賞で最優秀賞を受賞した話題作です。
主人公である由希は大家族の長女として育ったため、とても真面目で周りから『姐さん』と呼ばれるような性格をしています。
そんな由希にとっての頭痛の種がバスケ部の後輩である成瀬。
ある日、由希は先輩への片思いを、成瀬に見抜かれてしまい……というお話です。
このお話、由希と成瀬の主人公二人が本当に不器用なんですよね。
由希はいつも素直になれなくて、先輩には想いを告げられないし、成瀬に対してもツンツンしてしまいます。
対する成瀬もある想いを抱きながら、それをなまいきな言動でしか表現できずにいると言った具合です。
そんな不器用×不器用な二人がつむぐ恋物語は、実に胸キュンな内容に仕上がっています!
中でも由希は、読者が『がんばれ!』と応援したくなったり『その気持ちわかるよ……』と共感したりできる、魅力的なヒロインです。
さらに、由希はミステリー小説の技法である『信頼できない語り手』でもあります。
由希の語りだけだと、成瀬は軽薄でなまいきなどうしょうもない奴に思えます。
しかし、状況をしっかり整理し、成瀬のセリフの意図を読み取っていくと……といったギミックが仕込まれています。
不器用な二人は、心の底から笑い合える日が来るのでしょうか?
要注目の作品です。