イギリスの大学・大学進学について詳しく述べているだけでなく、分析的に掘り下げることで、賢明に教育政策を選択するためのヒントを示してくれる。
例えば、大学教育に求めるものとして、学生数(を増やす)、財源(を当てて学生やその家庭の負担を軽く)、教育の質(を確保して手厚い指導を受ける)という希望を全て叶えることはできず、限られたリゾースの中でトレードオフの関係にあるり、何を優先するか、あるいはどのようなにバランスをとるかを考えていくべきであることを整理して解説してくれている良書だと思う。
遠く、どこかキラキラしていて、時にアメリカの大学と同一視してしまう英国の大学は、掴みがたい存在です。本書では、英国人の気質などにも触れながら、歴史、教育、研究、経営の各分野について、英国の大学を「丸裸」にします。
はじめに
各章の主な内容
凡 例
1 歴史と発展の章ーー英国大学の900年間
1 オックスフォード大学誕生からヒエラルキー構造の成立までーー12世紀〜20世紀末
2 経営体としての英国大学の成立ーー21世紀の20年間
3 本章を通じて
2 教育の章ーー「狭く深い教育」vs「広く浅い教育」
1 英国大学の教育の特徴
2 教育の質確保のための取組
3 本章を通じて
3 研究の章ーー世界に冠たる研究力を形作るもの
1 英国の研究力の分析
2 英国の研究力を形作るもの 1--「人」に着目した分析
3 英国の研究力を形作るもの 2--若手研究者
4 英国の研究力を形作るもの 3--大学教員
5 英国の研究力を形作るもの 4--国外からの研究者の獲得
6 英国の研究力の課題
4 経営の章ーー「かつかつ」で作る「キラキラ」
1 英国大学の資金繰り
2 実像と虚像
3 英国大学のガバナンス
4 本章を通じて
5 コロナの章ーーコロナは英国大学を変革したか
1 英国におけるコロナの2年間ーー2020年3月〜2022年3月
2 英国政府のコロナ対策
3 コロナ下の英国大学
4 コロナ後の展望
おわりに
あとがき
コラム
1 英国における宗教改革・宗教論争の歴史
2 サッチャーの英国
3 英国は衰退していなかった⁉
4 公的負担と私的負担の境目
5 英国で過ごす中で,つらつら考えたこと
6 教育観の転換
7 「手厚い」評価の是非
8 事前規制(設置認可)に基づく教育の質の確保
9 道楽と職業
10 教育と研究の分担1(教員間の分業)
11 教育と研究の分担2(組織間の分化)
12 日本との比較 1(若手研究者)
13 日本との比較 2(講座制とPI主義)
14 ターゲット大学の財務諸表
15 英国における移民
イギリスの大学・大学進学について詳しく述べているだけでなく、分析的に掘り下げることで、賢明に教育政策を選択するためのヒントを示してくれる。
例えば、大学教育に求めるものとして、学生数(を増やす)、財源(を当てて学生やその家庭の負担を軽く)、教育の質(を確保して手厚い指導を受ける)という希望を全て叶えることはできず、限られたリゾースの中でトレードオフの関係にあるり、何を優先するか、あるいはどのようなにバランスをとるかを考えていくべきであることを整理して解説してくれている良書だと思う。


