ジョージオーウェル著の名作。
スターリン政権下のソ連の社会状況を農場の動物によって快活に表現されたおとぎばなし。
全体主義的な思想が広まることにより生まれてくる独裁政治の恐ろしさやそれに抗おうとしたものがどういう目に合うのか、あるいはそういった社会情勢の中で大衆はどのようにコントロールらせてしまうのかをオーウェル独自の個人主義的な観点から描かれており、惹きつけられるものがある。
また、この内容は当時のソ連に限ったことではなく、全体主義的な思想が広まった所では、どこでも起こりうるような社会情勢であると思うので、心の片隅に常に置いておきたい内容である。
全体主義的な独裁政権下において起こりうる、行き過ぎた管理社会によって、迎合できないもの、適応できないもの、反発するものが迫害されてしまう恐ろしさを持ちながらも、社会を統治する上でなくてはならない一面もあるという難しい人間社会のジレンマを記した著書であるとも見てとられる。
行き過ぎた全体主義思想によって個人の権利が剥奪されている感じがする方、行き過ぎた管理社会によるアイデンティティや個性的な創造性の喪失、あるいはその意思の喪失を感じている人は是非とも一読していただきたい。