第二次世界大戦中、戦禍にあった故郷の村を出てソ連軍の狙撃兵になったウクライナのセラフィマ。
訓練に励み、武勲で貢献することが、ひいてはソ連の中でウクライナを認めさせることに繋がるのでは、と過酷な軍隊生活を送ることになる。作品中に描かれる大国が小国を、男性兵士が女性狙撃兵を見下す理不尽な世界の様子は、半世紀以上も前のことなのに、現代に通じるものがある。
男社会の中で助け合う女性同士の姿は美しいものの、男性作家が描く女性だなぁ、という感じがしてしまう。
戦争の渦中から一転、何十年か後の彼女たちが描かれるラストがいい。
第二次世界大戦中のロシアの少女の物語
あまり見たことない視点で物語が進むので、シンプルに新鮮でした。
その中で、幼い少女が戦争の被害にあいその後、戦士となっていく中で、戸惑いや葛藤など、様々な感情がうずまき、感情移入もしやすく、感動するお話でした!
独ソ戦にソ連の兵士として従軍する狙撃兵の少女の葛藤や生き様を描いた小説。アガサ・クリスティー賞や本屋大賞を受賞した。伏線の回収や意外性のある展開はとても見事だが、何より登場人物たちの迷い、決意、悲しみ等が極めてリアルに描かれており、まるで実在するかのように感じられる心情描写が見事。戦時中のソ連という現代日本とは全く関係の無い舞台設定をここまで面白く鮮やかに描ける作者はこれがデビュー作だという。今後に期待が高まる。