表紙は1巻の白雪と対になっているようなゼンが、王子然とした姿をしていて、物語が進むことを予感させてくれます。
宮廷薬剤師の試験に合格して、王城の薬室で見習いとして働き始めた白雪にスポットが当たり、ストーリーが深まっていきます。
宮廷薬剤師としては一番若い、12歳の少年リュウ。
彼を子供だからと侮らず、上司として敬意と親しみをもって接する白雪と、リュウが白雪と仲良くなるための方法を助言するゼン。
どちらもリュウを軽く扱わないところが素敵です。
白雪は薬剤師の分野でゼンに頼りにされることを喜び頑張りますが、ゼンはそんな白雪の身を案じます。
作中では、この対比が浮かび上がるように描かれています。
砦の兵士たちの前では王子らしく振る舞うゼンと、白雪の前では一人の人間として素の表情を見せるゼンが、良いバランスで介在しています。
欠かせない存在である側近ミツヒデと木々が、ゼンに王子としての立ち位置を自覚させ、恥じない自分でいることを自負させてくれる素敵な関係です。
第1王子イザナが登場して、その言動によって第2王子であるゼンとの立場の違いが浮き彫りになり面白いです。
白雪に厳しい言葉を投げつけるイザナが、王族として本来の正しい姿なのだろうなと感じます。
大切な人として甘やかすことなく、イザナと対峙させることを選べるゼンの判断からは、白雪の心根の強さを信頼していることが伝わってきます。
話のラストは、少しの波乱を感じさせて、ますます続きが気になります。