本書は、ミステリー作家であり無類の読書好きである著者の、本への愛と博識ぶりが分かる、全3部構成の解説・エッセイ集になります。
その紹介数は総勢362名、1,018作品と驚きの量。
第23回本格ミステリ大賞[評論・研究部門]受賞作です。
「第1部 阿津川辰海は嘘をつかない~阿津川辰海 読書日記~」では、〈ジャーロ〉のサイト内で現在も連載しているエッセイから、2022年3月掲載の第35回分まで収録されています。
この第1部から既に圧巻の読書量&博識ぶりで、隔週連載とは思えないほど毎回メインとなる本の紹介以外にも、最近読んで面白かった本や、紹介している本に関連した本など、ほぼどの回も複数冊を紹介しています。
未読の本の方が多いのですが、それでも面白く読めて、その本自体も読みたくなる、著者の熱量が感染していく感覚が味わえます。
特に、オススメする作品のミステリーとしての特徴・見所を作品毎に捉えて言語化できる能力が羨ましいほど高いです。
「第2部 解説子の記憶」では、2022年3月までに担当した解説11本が掲載されています。
こちらは、第1部以上に解説を担当した本の内部まで踏み込んでおり、読みごたえも抜群でした。
「第3部 創作の種は日常に潜む」は、各種媒体に掲載されたエッセイを収録しています。
こちらも本にまつわる話がメインですが、ゲームやアイマスなど話題は多岐にわたります。
様々な話題があることで、著者の興味の幅の広さや、それが著作に活かされていることが良く分かる内容となっています。
自分の大好きを凄まじい熱量で他者に紹介する。しかも、その紹介の仕方が上手いとあって、ニコニコしながら最後まで気持ちよく読めました。
本書自体も面白く、読みたい本がどんどん増えていく内容となっており、オススメです。