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永井義男『剣術修行の旅日記 佐賀藩・葉隠武士の「諸国廻歴日録」を読む』は、江戸期の佐賀藩士が残した剣術修行の旅日記をもとに、当時の武士の実像を描き出した歴史ドキュメント。『葉隠』で理想化された“忠義と死”の思想とは異なり、実際の武士たちが抱えていた現実的な葛藤や生活、修行の厳しさ、人間味が生々しく伝わる。永井氏の丁寧な史料分析と語り口によって、思想としての「葉隠」と生身の「葉隠武士」との距離が明確に示される、興味深い一冊だった。