湊かなえの『告白』は、復讐をテーマにした心理サスペンスの傑作で、教師と生徒という日常の舞台が恐ろしい緊張感に包まれます。語り手が次々と変わる構成により、同じ事件が多角的に描かれ、人間の心理や裏の顔が鮮明に浮かび上がります。復讐の冷徹さや倫理的葛藤、罪の重さが生々しく描かれ、読者に強い衝撃を与えます。読後には深い余韻と考察の余地を残す、心理サスペンスの金字塔です。
読んでいてぞくぞくと緊張が止まりませんでした。一見普通の中学校ですが、裏でいろんな事件が起こって人間の複雑な感情や復讐心が描かれていてとても面白かったです。登場人物の告白という形で物語が進みますが、心の闇だったり人間の弱さに切り込んだ物語です。
【罪を犯したのは、誰のせいでもなく、あなたのせい】
中学生を守ってくれるのは、親よりも友達よりも先生よりも“少年法”だった。そして、中学生は、私たちが思っているより、ずっと大人でピュアで残酷な人間なのかもしれない。今回15年ぶりに再読したが、「イヤミス」どころか冒頭から衝撃的なラストまで全編通してとんでもない劇薬小説だったことに気付く。この小説に綺麗事なぞ存在しない。緻密な構成はもちろん、人間の心の中に潜む毒を容赦なくさらけ出した感情描写が秀逸で、個人的に本作は湊かなえの原点にして頂点の傑作小説だと思う。
女子中学生の殺人事件をめぐる教師の復讐劇を描く。複数の語り手によって事件の全貌が徐々に明かされていくスタイルで、心理描写が緻密かつ重厚。湊かなえのデビュー作であり、社会現象を巻き起こした話題作。最後までわからない