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本書は、白蛇伝を題材とした作品ですが、単なる怪奇譚にとどまらず、人間の欲望や業、そして運命の残酷さを深く掘り下げています。
特に印象に残ったのは、白蛇の白素貞と許宣の愛の悲劇です。
二人は深く愛し合いながらも、種族の違いや社会の壁によって引き裂かれてしまいます。その切ない愛の物語は、読者の心を揺さぶり、深く考えさせられました。
また、雷峰塔に閉じ込められた白素貞の絶望感も、心に突き刺さるように描かれていました。
彼女の悲しみは、単なる個人の悲しみを超え、人間の存在そのものに対する深い問いを投げかけてきます。
この作品は、怪奇小説でありながら、哲学的な深みも感じられる点が魅力的でした。
白蛇伝という古典的な題材を、現代的な視点で再解釈した作者の力量に感嘆しました。