『『純粋理性批判』を立て直す カントの誤診1』は、哲学者・永井均氏によるカント再解釈の試みであり、『純粋理性批判』に内在する哲学的問題点を鋭く分析した意欲的な一冊である。永井氏は、カントの認識論を単なる批判ではなく「現代哲学としてどう立て直せるか」という視点から再構築し、人間の意識・自己・世界の関係を新たな角度で捉え直している。難解ながらも、哲学の根源的な問いに真摯に向き合う内容で、カント思想をより深く理解したい読者に強く勧められる書である。
『哲学探究3』終章から引き続いて、カントの超越論的構成が永井哲学の独在論を前提にすることで真価を発揮することを、『純粋理性批判』の本文を引用してそれにコメントをしていく流れのなかで示していく。
はじめに
第1章 世界はどのようにできているかーー「超越論的感性論」への入り口として
一 感性と悟性、個別的なことと一般的なこと
二 置き移しと押し付けの対決へ
三 右と左ーー置き移されるものとしての
第2章 カテゴリーの分類と構築
一 カント的な「カテゴリー」の特質
二 一応はカントの分類に従ったカテゴリーの(勝手な)解説
三 超越論的哲学のために不可欠なカテゴリーの追加
四 超越論哲学はどこから始まるべきか
第2章の落穂拾いと全体の展望
一 なぜ超越論的な哲学が不可欠なのか
二 カテゴリーとしての人称と時制の作り方にかんする試論
三 いかにして記憶は可能か
第3章 渡り台詞の不可能性と必然性ーー第一版の演繹論について
一 超越論的哲学の課題ーーゾンビにならずに自己は持続可能か
二 三重の総合
三 なんちゃってビリティによって成立する自己
第4章 形而上学(独在性)と超越論哲学ーー第二版の演繹論について
一 「私は考える」と「私は思う」
二 デカルトのカント的補強とは何か
三 矛は盾に内在する
四 結合は不可欠だがそれだけでは足りない
第5章 図式とは本当は何であるべきか
一 判断力のはたらきと超越論的論理学
二 経験的概念の図式機能について
三 夕焼けの介入
四 純粋悟性概念の図式について
五 実体の持続から話が逸れて主体の側の持続と自己触発についての壮大な迂回
六 純粋悟性概念の図式の議論へ戻る
七 人称カテゴリーの不可欠性
第6章 原則論についてーー観念論論駁のカラクリを中心に
一 最高原則
二 直観の公理
三 知覚の先取
四 経験の類推
五 観念論論駁(その1 観念論は論駁されているか?)
六 観念論論駁(その2 では何がなされているか? そして何がなされるべきだったか?)
第7章 誤謬推理とは本当は何であるかーーカントの躓き
一 カントは何を見誤ったか
二 四つの誤謬推理
三 第二版のその後の議論ーー「唯一の躓きの石」
付論 この現実が夢でないとはなぜいえないのか?--夢のような何かであるしかないこの現実について
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