『図書館戦争』シリーズの『図書館内乱』に、この本が登場しています。
この本は『図書館内乱』において、聴覚障害の女の子を主軸にした物語の世界観を作る重要なもの。
まさか実在する本だとは露知らず、ずっと読んでみたいと思っていました。
チャプター名はキャラクターたちの言葉になっていて、
各キャラクターの性格や人となりがにじみ出ており、同時に有川浩さんの世界観が広がっていました。
主人公は関西出身の社会人3年目の男性。
中学時代に夢中になっていたラノベの終わりかたについて、急に誰かと語り合いたくなった彼は、とあるサイトに行きつきます。
そこには彼と同じように、学生時代この本と出会い、自分なりにこの本の終わりかたと向き合った女の子の、謙虚ですこし大人びた現実的なコメントがありました。
彼は彼女と話をしたくなり、彼女にメールを送ります。
その後、彼らはネット上でやりとりをする間柄になりますが、この本に対するふたりの熱量の強さは人生の縮図を見ているようで、いつまでも見ていたい気分になりました。
また、似て非なるふたりの感性がお互いの欠けている部分を補い合っているようで、探求心がくすぐられます。
そして遂に、彼は彼女と会うことになるのですが、実は彼女には秘密があって……
すこしネガティブな考えをする彼女。その考えが形成された理由が明らかになり、彼のぶれない気持ちにキュンキュンしてしまいます。
忘れかけていた青春をもう一度味わいたい方に必見の1冊です。