重松清さんの『流星ワゴン』を読んで、私は「過去を変えることはできなくても、過去と向き合うことで未来は変えられる」というメッセージを強く感じました。
主人公の永田一雄は、仕事も家庭もうまくいかず、生きる希望を失っていました。そんな彼が、亡くなった父子の乗る不思議なワゴンに乗って、自分の過去を旅するという物語です。最初は「過去をやり直したい」という思いで旅を始めた一雄ですが、旅を通して見えてきたのは、過去の出来事そのものではなく、それにどう向き合うかが大切だということでした。
特に印象に残ったのは、若き日の父親とのやりとりです。頑固で不器用な父親に反発していた一雄が、同じ年齢の父と出会い、彼の苦悩や不安を知ることで、少しずつ理解し、許していく姿に心を打たれました。親子の関係は、時にすれ違い、ぶつかることもありますが、対話と理解によって再びつながることができるのだと教えられました。
また、過去の自分に会うことで、自分自身の弱さや逃げてきたことにも気づかされます。現実から逃げるのではなく、向き合う勇気を持つことの大切さを、一雄の姿から学びました。
この物語は、ただのファンタジーではなく、私たち一人ひとりが抱える「後悔」や「家族との関係」に深く寄り添ってくれる作品です。読み終えたあと、私も自分の家族や過去の出来事を思い返し、「今をどう生きるか」を考えるきっかけになりました。
重松清の名作。感動必須の小説となっております。妻には離婚を切り出され、息子は引きこもり。会社にはリストラ宣告され、絶望の主人公。入院中の父の元に足繁く通い、交通費と称した5万円を貰う日々。死にたくなった主人公の前に一台の車が現れ、、、
時間や家族の絆をテーマにしたとても心に響く作品でした。主人公の歩が過去に戻って家族や自分自身と向き合う姿に、自分の人生や後悔について考えさせられました。物語の中で描かれる父と息子の関係や、失われた時間を取り戻そうとする気持ちが丁寧でリアルに感じられて、感情がぐっと引き込まれます。流れるようなストーリー展開と温かい描写が心に残り、読み終わった後もずっと考え続けたくなる、優しくも力強いお話でした。














