ポール・リクールの深い哲学的洞察に触れ、非常に強い印象を受けました。リクールが「過ちやすき人間」や「悪のシンボリズム」について考察する中で、罪責感や人間の限界、道徳的な葛藤についての理解が一層深まりました。彼の言う「有限性」は、私たちがどれだけ無力であり、過ちを犯しやすい存在であるかを前提にしつつ、その中でどう生き、どう自分自身を理解するかが問い直されます。罪責性についての分析は、単に宗教的な枠を超え、心理学や倫理学的なアプローチも織り交ぜながら、私たちがどのように「悪」を理解し、それに対処するのかを掘り下げています。
悪の問いに応答する
アクチュアルな宗教哲学ーー
人間の「過ちやすさ」を精緻に解き明かす哲学的反省が、象徴的・神話的表現の渉猟によって、悪の経験を表現する豊穣で多彩な諸宗教の象徴言語に接続する。
20世紀フランス哲学の巨人リクールは〈解釈学的哲学〉の泰斗として知られるが、初期の〈意志の哲学〉では哲学と宗教ははるか近くで呼応していた。
リクールの歩みの一大転機となり、新たな宗教哲学への展望を開く記念碑的著作!
1960年に刊行された本書は、〈意志の哲学〉の第2巻で、『過ちやすき人間』と『悪のシンボリズム』の2分冊からなる。『過ちやすき人間』は、人間の「過ちやすい」存在構造として「悪の可能性」を哲学的に考察し、『悪のシンボリズム』は、悪の象徴的・神話的表現の解釈を通して、「悪の現実性」を照らす宗教的象徴の世界を開き出す。
3冊に分かれて邦訳されたために見えなくなっていたこの大著の広大かつ豊穣なる展望が、全巻通しての新訳によって鮮やかに浮かび上がる。
★〈シリーズ 宗教学再考〉第4回配本
【目次】
『有限性と罪責性』 序言
第一冊 『過ちやすき人間』
第一章 「悲惨」のパトス的表現と純粋反省
第二章 超越論的総合ーー有限なパースペクティヴ、無限な言葉、純粋想像力
第三章 実践的総合ーー性格、幸福、尊敬
第四章 情感的脆さ
結論 過ちやすさの概念
第二冊 『悪のシンボリズム』
第一部 一次的象徴ーー穢れ・罪・負い目
序論 「告白」の現象学
第一章 穢れ
第二章 罪
第三章 負い目
結論 隷属意思の概念における悪のシンボリズムの総括
第二部 始まりと終わりの「神話」
序論 神話の象徴的機能
第一章 創造のドラマと「儀礼的」世界観
第二章 邪悪な神と「悲劇的」実存観
第三章 「アダム」神話と「終末論的」歴史観
第四章 追放された魂の神話と認識による救済
第五章 諸神話のサイクル
結論 象徴は思考を引き起こす
解説/後記
索引
『有限性と罪責性』 序言
第一冊 『過ちやすき人間』
第一章 「悲惨」のパトス的表現と純粋反省
第二章 超越論的総合ーー有限なパースペクティヴ、無限な言葉、純粋想像力
第三章 実践的総合ーー性格、幸福、尊敬
第四章 情感的脆さ
結論 過ちやすさの概念
第二冊 『悪のシンボリズム』
第一部 一次的象徴ーー穢れ・罪・負い目
序論 「告白」の現象学
第一章 穢れ
第二章 罪
第三章 負い目
結論 隷属意思の概念における悪のシンボリズムの総括
第二部 始まりと終わりの「神話」
序論 神話の象徴的機能
第一章 創造のドラマと「儀礼的」世界観
第二章 邪悪な神と「悲劇的」実存観
第三章 「アダム」神話と「終末論的」歴史観
第四章 追放された魂の神話と認識による救済
第五章 諸神話のサイクル
結論 象徴は思考を引き起こす
解説/後記
索引
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