関西でお馴染みの阪急電車。様々な駅を通過するとともに、織りなされるいろんなキャラクターの物語に魅せられます。阪急電車を利用する人、沿線に住む人なら、なおさら親近感が湧くのではと思います。私は花嫁さんのエピソードが特に好きです
たまらなく良い小説だ!阪急電車今津線だけで繰り広げられる人間模様。登場人物それぞれにドラマがあり、それが交差して、そして昇華される。ひとの基本的なことに立ち返させられる、ほのぼのと感動する作品になっている。
小豆色の阪急電車が描かれていてミニチュアのようで可愛らしいなと思い、手に取りました。
この本は阪急今津線にスポットを当てていて、目次には実際にある駅名が並んでいます。
全体としては恋愛要素が強めで初々しい恋の始まりから、残念な年上彼氏、ミリオタ男子など…個性的なキャラクターもたくさん!
登場人物たちの想いがギュッと凝縮された物語には、心に突き刺さってくるものがあり、
自分も登場人物のひとりになっているかのような感覚を覚えます。
物語の舞台は、関西。
心が温まるような関西弁や、関西人に多いお節介が絶妙にいい味を出していて、物語の重要な役割を果たしていました。
そして、関西ならではの豆知識も多いです。
その情報が自分に吸収されていくほどに登場人物たちに一歩、また一歩と近づいていくようで、物語の中の同じ舞台に立っている気持ちになれました。
一期一会の出会いも大切にしたい、という気持ちが芽生えてくる本になっています。
人の温かさも感じることができる物語なので、この先もずっとそばに置いていたいと思える一冊になるかもしれません。
また、実際に阪急今津線の電車に乗車して、この作品をより身近に感じて楽しむこともオススメですよ!
一つ一つの話が短編化されていて、その話もごくありふれた感じの話なのですが、この生活感のあふれたストーリーがこの作品のメッセージ性を身近に感じることができるのだと実感しました。
そして、この短編は一つ一つが別の主人公であり、その主人公の視点から描かれているのですが、すべての話がまったく別の物語ではないのです。別の話なのに、繋がっている・・・。
ここで「この作品のメッセージとは何か」ということですが、まず一つ答えを明かしますと「私たちの日常が誰かの人生や考え方に影響を与えているかもしれない」という事が、この短編が連鎖していることからうかがえます。
もちろん、まだこの本には別のメッセージがありますが、それは読んでみて探してください(笑)
一度では、わかりにくいかもしれないので、探せなかった方は再読をお勧めします。