広島を舞台にした小説5選

広島という舞台を背景に、その魅力や歴史、人々の暮らしを描ききった小説を5つご紹介します。平和公園から見えるあの世界遺産も、言葉として描かれていて、ふとした瞬間にその風景を思い浮かべます。もちろん、闘争や感動のドラマもちりばめられ、一人の人間として、広島という場所とどう向き合っていくのかを私たちに問いかけます。そして、広島名物の「お好み焼き」や「もみじ饅頭」など地元の美味しい食事も物語に彩りを添えます。歴史を身近に感じられる素晴らしい作品たち、ぜひ手に取ってみてください。
『広島の追憶 原爆投下後、子どもたちのそれからの物語』

被爆地広島は戦後十二年経っていた。
由美子、和也、進、裕は仲良し四人組の六年生だった。中学進学を控えてそれぞれの向かう道を話し合っていた。
ところが思いもかけないことが次々と起こった。それは和也のお父さんが、夏休みの間に原爆症で死んだことから始まった。和也は、被爆して体調を崩していたお父さんの代わりに八百屋の店を手伝っていたが、中学を卒業するとお父さんの代わりに店の仕事は全部自分がしようと思っていたのだ。それなのに、放射能はそれを待ってくれなかった。お父さんの命は途絶えた。仕方なく店をたたんで小さな妹や弟もいるので、おばさんの所へ引っ越すことになった。
そして秋に体調を崩して入院していた裕が、年が明けると白血病で死んでしまった。その上、担任の上内先生までが後を追うように死んだ。先生も肩から腕にかけてケロイドが残り、被爆していた。
あまりに悲しいことが続くので、由美子は、進に「なんで、こんとに(『こんなに』の広島の方言)人が死ぬん?」とつぶやいてしまった。「ここはヒロシマじゃから」と悔しそうに言う進の言葉に、転校してきた由美子は戦後十二年経っても広島は戦争が終わっていないことを知らされるのである。
その上、進まで、お母さんが自殺したことで急にいなくなってしまった。由美子の心はすっかり折れていた。そんな由美子に和也が言ったのだ。「オレがお前のナイトになってやる」と。
二人は悲しみの詰まった広島の地で、別れた人たちへの想いを胸に、前へと進んでいこうとする。
そして……、和也は「ナイト」になって由美子を守ることができたのか。
戦争が終わって八十年近く経った。今、平和な日本に生きる若いあなたたちへ伝えたい。あなたたちと同じ若者の遠いヒロシマの追憶の物語。そしてこれからの世界にこの悲劇が生まれないことを。
作者 | 梓 加依 |
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価格 | 1650円 + 税 |
発売元 | 鹿砦社 |
発売日 | 2023年10月09日 |
『ほくほく広島ごはん 割烹ダイニング花桃の細腕繁盛記 (メディアワークス文庫)』

作者 | 宮嶋 貴以 |
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価格 | 644円 + 税 |
発売元 | KADOKAWA |
発売日 | 2022年02月25日 |
『広島電鉄殺人事件(新潮文庫)』

作者 | 西村京太郎 |
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価格 | 584円 + 税 |
発売元 | 新潮社 |
発売日 | 2020年06月05日 |
『広島藩の志士 二十歳の英雄・高間省三物語』

幕末史の定説を覆す歴史小説。倒幕・維新で大きな役割を果たした広島藩の活躍を克明に描く。
作者 | 穂高健一 |
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価格 | 1760円 + 税 |
発売元 | 南々社 |
発売日 | 2018年03月 |
『小説・吉田拓郎 いつも見ていた広島 ダウンタウンズ物語〔小学館文庫〕』

<この小説に描かれている「あの時代の広島の青春」は、今でも日本一の若者文化だったと自負している。 何故って? それは僕「吉田拓郎」が作り上げ、世に送り出した時代背景が「そこ」にあったのだから。 多少、手前味噌でありましたかな?>--吉田拓郎
1960年代半ば、まだまだ戦争の香りが色濃く残る広島で、東京への憧れと反発を抱きながら、バンド活動に打ち込んでいた若者たち。やがて日本の音楽シーンに革命を起こしたひとりの男を中心に描かれる、熱く悩み多き日々。
作者 | 田家 秀樹 |
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価格 | 785円 + 税 |
発売元 | 小学館 |
発売日 | 2009年06月10日 |
以上、広島を舞台にした5作品をご紹介させていただきました。どの作品も、広島の地元の情景、風土、さらには人々の暮らしや心情を生き生きと描き出しています。ある作品では広島の地元料理や風景を巧みに描き、読者を広島へ連れて行ってくれます。またある作品では、歴史的なできごとに照らし出された広島の人々の悲劇や希望を描き出し、読者の心を揺さぶります。
これらの作品を通じて、私たちはいかに広島がその歴史とともに独特な文化や価値観を形成してきたのかを垣間見ることができます。そして同時に、広島の人々がどのように困難を乗り越え、また新たな未来に向かって歩んできたのかを肌で感じることができるでしょう。
一冊の小説や漫画が、あたかも窓のように広島の風景を見せ、その地方の魅力を伝えることができるのです。それぞれの作品が持つ独自の視点と語り口で、広島のストーリーを描き出すことで、この地方が持つ生命力や魅力が、より深く、より鮮やかに伝えられるのだと思います。
これらの作品を手に取って頂ければ、あなたもきっと広島が抱く深い物語性や魅力を感じ取ることができるはずです。そしてもしかすると、身近な風景や日常も一冊の小説や漫画を通じて新たな視点で見つめ直すきっかけになるかもしれませんね。あるいは、まだ訪れたことのない広島へ足を運んでみたいと思うかもしれません。
今回ご紹介した作品を通して感じる広島の魅力に触れ、さまざまな思いを巡らせることで、日常生活に少しでも新しい視野やワクワクする気持ちをもたらしてくれれば嬉しいです。
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