これまでご紹介してきたのは、画に託して戦争の真実を描き出す驚くべき作品達でした。戦争とは何か、なぜそれは起こるのか、人間が置かれた極限状態で何を思い、何を感じるのか。様々な角度からくまなく描かれた戦争の風景は、私たちを深く考えさせます。

勇敢な戦士たちの姿を描きながら、戦争の残酷さと無意味さを同時に示している作品、戦争の側面を社会派の視点から描き出す作品、個々の人間的なドラマを前面に押し出しながらも戦争を背景に真実を見つめようとする作品など、それらは一概に「戦争漫画」と呼び名をつけるには多岐にわたりすぎています。

しかし「戦争」というテーマから生まれる絶望感や希望感、複雑な人間関係や壮絶な行動を描くことで、読者に多角的な視点と深い洞察力を与えてくれます。言われなくてもわかるでしょうが、漫画に描かれる戦争は、果たして現実のそれとどれだけ差があるのでしょうか。それはあなたが読むことで、しかるべき答えを見つけていただきたいと思います。

どんな作品であれ、作り手の心血が詰まっています。それぞれが大切なテーマを問いかけ、それぞれが見せる戦争の在り方は、間違いなく読者にとって多くの思考を促します。きっとあなたが選ぶ1冊が、あなた自身の視野を広げてくれることでしょう。

このリストから何冊か手に取り、追体験したり、考えたり、感じたりしてみてください。それが戦争を描いた漫画を読む一番の意味ですから。どの作品も、私たちに多くの問いを投げかけることでしょう。ただし、その答えを必ずしも作品が教えてくれるわけではありません。しかし大切なのは、その問いを知り、考え、自分自身で答えを探すこと。戦争を描いた10冊の漫画から、あなたの答えが見つかることを願っています。