多様性の時代、家族の形を考えさせられる小説5選
最先端のテクノロジーが常識を変え、これまでの家族の形が揺らいでいる今日。そんな時代にピッタリな小説を5冊、ご紹介します。まずは孤独な男性が「家族」にまつわる固定概念と向き合う作品。続いて、「夫婦」ではなく「パートナー」として生きる二人の物語。3冊目は、育児と介護に挟まれた「さくらんぼ世代」の悩みを描いた一冊。4つ目は、夫婦間でもなく、親子でもない、新しい絆を描いた作品。最後に、血の繋がりを越えた「家族の絆」を描く小説。多様化する「家族」とは何か、考えるきっかけになることでしょう。
『そして、バトンは渡された』
作者 | 瀬尾,まいこ,1974- |
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価格 | 不明 |
発売元 | 文藝春秋 |
発売日 | 2020年09月 |
『流浪の月』
作者 | 凪良,ゆう |
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価格 | 不明 |
発売元 | 東京創元社 |
発売日 | 2022年02月 |
『わたしの美しい庭』
マンションの屋上庭園の奥にある「縁切り神社」。
そこを訪れる<生きづらさ>を抱えた人たちと、「わたし」の物語。
本屋大賞受賞『流浪の月』の凪良ゆうが贈る、救いに満ちた感動作!
<内容紹介>
小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。
百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。
三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。
地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。
悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくるがーー
<プロフィール>
凪良ゆう
2006年にBL作品にてデビューし、「美しい彼」シリーズなど作品多数。2020年『流浪の月』にて本屋大賞を受賞。2021年『滅びの前のシャングリラ』がキノベス!第1位。非BL作品の著作に『神さまのビオトープ』『すみれ荘ファミリア』など。
作者 | 凪良 ゆう |
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価格 | 814円 + 税 |
発売元 | ポプラ社 |
発売日 | 2021年12月07日 |
『さんかく』
「おいしいね」を分かち合える、そんな人に出会ってしまったーー
直木賞作家が描く、三角関係未満の揺れる女、男、女の物語。
「入念な下ごしらえがなされた滋味深いおばんざいをいただいた。そんな後味の残る小説だ」阿川佐和子
恋はもういらないというデザイナーの夕香。かつて夕香の職場でバイトをしていた正和。恋人の正和よりも研究一筋の、大学院生の華。偶然再会した夕香と正和はたびたび食事を共にするうちに、夕香の暮らす京町家で同居することに。理由は食の趣味が合うから。ただそれだけ。なのに、正和は華にどうしても打ち明けられなくて……。
揺れ動く、三角関係未満の女、男、女の物語。
作者 | 千早茜 |
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価格 | 792円 + 税 |
発売元 | 祥伝社 |
発売日 | 2023年10月12日 |
『昨夜のカレー、明日のパン』
7年前、25歳で死んでしまった一樹。遺された嫁・テツコと今も一緒に暮らす一樹の父・ギフが、テツコの恋人・岩井さんや一樹の幼馴染みなど、周囲の人物と関わりながらゆるゆるとその死を受け入れていく感動作。本屋大賞第二位&山本周五郎賞にもノミネートされた、人気夫婦脚本家による初の小説。書き下ろし短編「ひっつき虫」収録!
作者 | 木皿 泉 |
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価格 | 660円 + 税 |
発売元 | 河出書房新社 |
発売日 | 2016年01月07日 |
ここで紹介した5作品を通じて、一言で表現することの難しい「家族」というものの複雑さや豊かさに気づくことができれば幸いです。家族とは血のつながりだけではなく、選んで築く絆でもあります。悲しみも、喜びも、困難ささえも、共有することで深まる絆が家族なのです。
さまざまな家庭環境、価値観、生き方が描かれた作品たちは、私たちが抱える「どう生きるべきか」という普遍的な問いに、真摯に向き合っています。我々が未来を切り開いていくためには、違う価値観を持つ人たちを理解し、尊重することが不可欠。全く異なってみえる他者の生き方に対しても共感力を持つことは、豊かな人間関係を築くために大切なスキルと言えるでしょう。
コミュニケーションに困ったとき、理解できないと感じたとき、心に余裕がないとき。そんなときこそ、他者を理解しようとする作努力は大切です。小説や漫画から感じることが出来る他者の視点、人間関係、生きる仕方のヒントが、そんな瞬間の助けとなることでしょう。
また、各作品は未来に向けた希望も描かれています。それぞれの家族が、困難を乗り越えて築き上げてきた絆は、私たちにとって一つひとつが大切な教訓となり得ます。この5作品が、あなたの「家族」に対する理解と視野を広げ、そして未来の可能性を提示する一助となれれば、これ以上の喜びはありません。
読み終わったその先に広がる、新たな感情の風景をお楽しみいただけたら幸いです。異なる生の喜び、悲しみ、苦悩、そして希望があなたの人生を豊かに彩ることでしょう。未来は一体何色に染まるのか、ぜひ想像を巡らせてみてください。
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