どんな「誕生日」からも

確かな希望がほの見えるはずだーー

『最後の秘境 東京藝大』の二宮敦人がおくる6編のバースデー・ストーリー！

誕生日が一日違いのいとこ同士、自分を産んだ母の気持ちに思いをめぐらす高校生、誕生日に突然の腹痛に見舞われる青年、念願かなって自分で自分の誕生日を祝う小学生、祝いたいのに祝わせてもらえない高校生、ケーキ職人と弟子入りしたい小学生ーー。ある日の誰かの誕生日を描いた、心揺さぶる短編集。

【もくじ】

1　一日違いの誕生日

2　僕と家族の誕生日

3　さんざんだった誕生日

4　自分の、自分による、自分のための誕生日

5　ごくふつうの、なんにもない誕生日

6　毎日が誰かの誕生日

千春はバス事故で友人や教師を失い、一人生き残った罪悪感に打ちのめされる。 そんな千春を取り巻く弟、伯母、担任教師、亡くなった友人の母親、新聞記者、ケーキ店店主という6人の視点で、 人間が新たな一歩を踏み出してゆくまでの道のりを丹念に見つめる。 明日を生きるための強さを優しく描きだした連作短編集。

過去でありながら、未来でもある混沌の現在ー螺旋状の時間。家であり、町であり、一つの世界である場所ー流転する空間。自分自身であり、同時に他の誰もである存在ー互換しうる私。目眩めく迷宮の小説。『アウラ』をも凌駕する、メキシコの文豪による神妙の傑作。