【広陵高校について考える】高校野球と体罰・暴力──スポーツ文化の光と影を読み解く本4選

まずは野球の舞台裏に迫るノンフィクション。闘争心がエスカレートしトラブルにまで発展する選手の心情や、チーム内の人間関係を描いています。つぎにスラム街の少年たちが野球を通じて生きる力をつかんでいく感動作。取り残された場所からの脱出を描く群像劇に心奪われますよ。きっと唯一無二のベースボールストーリーに驚きと心揺さぶられるはず。その後は、功名を重んじ暴力行為を肯定する教師と、それに立ち向かう学生を描いた社会派作品。最後には超人的なパワーを持つプレイヤーが率いるチームの活躍を描いた作品。一見華麗な試合の裏には血のり汗のりの訓練が…。絶望と希望、光と影を体験しましょう。
『体罰と日本野球 : 歴史からの検証』

作者 | 中村,哲也,1978- |
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価格 | 不明 |
発売元 | 岩波書店 |
発売日 | 2023年12月 |
『壊された少年 排除と屈辱のジェンダー史』

多様性と寛容を備えた社会をきずくために、「戦後」社会の影から目を反らさず、自らの記憶をたどりながら、そこに内包されていたジェンダーに由来する歪や抑圧、暴力に検証の目を向けていく〈自分史〉。
まえがき
序章 Boy Broken
第1章 学校と少年
1節 教室の光景
(1)あの場所 ─ 地域の絵
(2)あの教師 ─ 戦前教育の遺産
(3)あの空間 ─ 教師の集団管理
[1]学級 [2]給食
2節 国家の力 ─ 学習指導要領
3節 覇権的少年性 ─ 学級委員・健康優良児
第2章 スポーツと少年
1節 男の証 ─ 野球
2節 スポーツとジェンダー
(1)体育とジェンダー ─ 男子のハードル
(2)部活動とジェンダー ─ モテる・モテないの岐路
第3章 ブラウン管と少年
1節 通り過ぎた少年雑誌
2節 テレビの中の“ともだち”
3節 テレビが映したセクシュアリティ
(1)幸福の未来図
(2)性の超越
第4章 世相と少年
1節 杉並西田町の影 ─ 朝鮮部落と屑屋長屋
2節 犯罪の影 ─ 連続通り魔事件
3節 高度経済成長の影 ─ テラスハウス阿佐ヶ谷住宅のパパとママ
4節 家族像の影 ─ かぎっ子に投影されたジェンダー規範
5節 父と母の影 ─ エロスと暴力
終章 あの少年を追って
1節 ジェンダー・トラブル ─ 自己否定の果てに
2節 壊された少年 ─ 後遺症を背負って
3節 残された時間 ─ 多様性と寛容を備えた社会に向けて
おわりに 願いをこめて
あとがき
解説 「壊された少年」のジェンダー史 加藤千香子
作者 | 内田雅克 |
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価格 | 1540円 + 税 |
発売元 | 風媒社 |
発売日 | 2023年07月28日 |
『男性学の新展開』

フェミニズムの問題提起を受けて展開してきた男性学は、これからどこに向かうのか。男性学の基本的な視点とロバート・W・コンネルの理論を丹念に紹介したうえで、労働や恋愛・結婚、「オタク」、居場所などを事例に男性学のポイントをわかりやすく紹介する。
序章 男性学の新展開
1 問題の所在
2 男性学の基本的視座
3 男性学の新展開
第1章 「男性問題」とは何か
1 「男性問題」の登場とその背景
2 「男性問題」の時代としての一九九〇年代
3 「男性問題」を語る視座
第2章 複数形としての男性性
1 複数形としての男性性
2 権力としての文化
3 「正常」はいかにして構築されるのか
4 男性性のイメージと歴史性
第3章 現代日本社会の男性と労働
1 「一家の大黒柱」としての意識
2 私的領域に男性の居場所はあるのか
3 覆い隠された若者の労働問題
第4章 地域に男性の居場所を作る
1 男性と仕事中心主義
2 定年退職後の男性の生活
3 地域活動を通じて〈生き方〉が変わる
第5章 オタクの従属化と異性愛主義
1 オタクはいかに語られてきたのか
2 オタクの従属化と男性性の複数性
3 異性愛主義の彼岸
第6章 揺らぐ男性性と恋愛/結婚の行方
1 結婚に囲い込まれた性と恋愛
2 「幸せな家族像」に内包される不平等と排他性
3 現代日本社会における〈ヘゲモニックな男性性〉
おわりに
作者 | 田中 俊之 |
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価格 | 1760円 + 税 |
発売元 | 青弓社 |
発売日 | 2009年12月19日 |
『男性学入門~そもそも男って何だっけ?~ (光文社新書)』

作者 | 周司 あきら |
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価格 | 990円 + 税 |
発売元 | 光文社 |
発売日 | 2025年05月21日 |
今回は、野球をテーマにした作品を4つご紹介しました。それぞれの作品は、「野球というスポーツ」がもつ「暴力」の一面を、異なる視点から描いています。選手たちの肉体的な負担はもちろん、精神的なプレッシャー、そして筋肉を鍛えることへの過度な執着、競争の結果生じるストレスやトラウマなど、これら全てがスポーツにおける「暴力」の形と言えます。
しかし一方で、これらの作品は、厳しさの中で育まれる友情や絆、試合の結果以上に重要なものとは何か、ということをヒューマンドラマとして描いています。本当の強さ、本当の負けない心とは何か。それは一体全体、スコアボードの数字で測られるものなのか。最良の結果を出すために、どれだけ自己を奮い立たせ、時には周りを蹴落とすべきなのか。そんな類い稀なる問いをリアルに突きつけてくれます。
多くの人々が夢中になって応援するスポーツ文化ですが、その裏側には選手たちの苦悩や汗と涙があります。それが戦いの結果生まれる喜びや達成感をより深く、より美しく彩る要素なのかもしれません。それは野球に限った話ではありませんが、今回ご紹介した4つの作品は、その点を特に見事に描いています。
野球を通した壮絶な人間ドラマ、大人から子供まで楽しめる青春物語、それぞれ違った魅力と深みを持った作品たちです。ぜひ一度、手に取ってその世界を味わってみてください。きっと、あなたのスポーツ観を少しだけ深くすることができるはずですよ。それでは、次回のご紹介をお楽しみに。
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