ナチスドイツの政策について考える本4選
ナチスドイツの政策に触れた名作を4つピックアップしました。まず一冊目は、ナチスの昇進メカニズムを描いた劇的な小説。気がつけばあなたも一部の人間であることに疑問を持つことでしょう。二冊目は、想像力豊かな漫画で、ナチスの政策が実際にどのように人々の生活に影響を与えたかを描いています。三冊目は、政策の理論的側面に焦点を当てた歴史書。具体的な事例と共に、その思想的背景に迫ります。最後に、ナチスの思想が若者にどのように影響を与えたかを描いた驚くべき小説です。それぞれ異なる視点でナチスの政策を描くこれらの作品は、共に深く考えるきっかけとなることでしょう。
『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』
「ナチスは良いこともした」という言説は、国内外で定期的に議論の的になり続けている。アウトバーンを建設した、失業率を低下させた、福祉政策を行ったーー功績とされがちな事象をとりあげ、ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証。歴史修正主義が影響力を持つなか、多角的な視点で歴史を考察することの大切さを訴える。
はじめに
第一章 ナチズムとは?
第二章 ヒトラーはいかにして権力を握ったのか?
第三章 ドイツ人は熱狂的にナチ体制を支持していたのか?
第四章 経済回復はナチスのおかげ?
第五章 ナチスは労働者の味方だったのか?
第六章 手厚い家族支援?
第七章 先進的な環境保護政策?
第八章 健康帝国ナチス?
おわりに
ブックガイド
作者 | 小野寺 拓也/田野 大輔 |
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価格 | 902円 + 税 |
発売元 | 岩波書店 |
発売日 | 2023年07月07日 |
『ナチスと自然保護 景観美・アウトバーン・森林と狩猟』
19世紀後半以降、工業化と都市化が急速に進んだドイツで、郷土の自然の荒廃に立ち向かった人びとがついに勝ち取った、先進・画期的な法律が「帝国自然保護法」だった。
ヨーロッパの森林政策、環境政策をリードするドイツ自然保護思想・運動のルーツをたんねんに辿り、第三帝国の自然保護の実像を鮮やかに描く。
日本語版『ナチスと自然保護』によせて
用語について
第1章 ナチス時代の自然保護主義者たちーー追及されるべきは誰なのか
帝国自然保護法の衝撃
欧米各国の自然保護
総統のために働く
自然保護運動とナチス政権
第2章 歪む愛国主義ーーゲルマン民族にとっての「土地」
自然保護のルーツ
異なる起源と共通の動機
右派思想の受容
自然保護に対する温度差
複雑な距離感
民族思想への態度
第3章 最高潮を迎えたドイツ自然保護ーー理想の実現に向かって
プロイセンの失敗
ナチスからの圧力
景観策定の試み
動物保護法への期待
全体主義への密かな抵抗
帝国自然保護法の影響力
帝国自然保護法第二四条
迷走する森林保護
自然保護ネットワークの拡大
景観保護の攻防
第4章 自然保護の可能性と限界ーー4つの事例
■ ホーエンシュトッフェルン山
ルートヴィヒ・フィンクの嘆き
採石事業か環境保護か
豹変するフィンク
ナチスの介入
採石場閉鎖へ
■ ショルフハイデ国立自然保護区
ヘルマン・ゲーリングの思惑
種保存の取り組み
注ぎ込まれる金
狩猟場としての自然保持
■ エムス川流域調整事業
洪水との戦い
時代による後押し
アルベルト・クライスの「意見書」
帝国自然保護法の矛盾
■ ヴータッハ峡谷
シュールハメルの手法
水力発電事業との攻防
暗躍する自然保護主義者たち
第5章 ナチスとの蜜月の終わりーーそれでも自然保護活動は続く
多様化する活動
自然保護ブームの到来
近づく両者
活動の形骸化
東部総合計画
保護活動のジレンマ
第6章 変貌を遂げた景観ーーナチスが残したもの
アウトバーン建設
ナチス効果はあったのか
オーバーザルツベルクの顛末
第7章 継続と沈黙とーー1945年以降の自然保護と環境政策
立ち上がるクローゼ
帝国自然保護局の運命
自然保護の精神とは
東西ドイツの振る舞い
第8章 教訓ーーナチス時代から学ぶ
附録
謝辞
参考文献
註
索引
訳者あとがき
作者 | フランク・ユーケッター/和田佐規子 |
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価格 | 3960円 + 税 |
発売元 | 築地書館 |
発売日 | 2015年07月29日 |
『[決定版]ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』
ドイツ近代の「台所」「竈」の歴史をたどりつつ、やがて訪れるナチスは、どのようにキッチンを、そして栄養やエネルギーまでもを改変し、ファシズムに取り込んだのか。当時のレシピやキッチンの設計図など、入手できる限りの史料をつぶさに踏査し、「1分チャージ」のキャッチフレーズで知られるように栄養をとりこめば事足れりとする機能性重視の現代の食生活こそ、まさにナチス時代のそれだった、という歴史を検証しています。
作者 | 藤原 辰史 |
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価格 | 2970円 + 税 |
発売元 | 共和国 |
発売日 | 2016年07月05日 |
『ナチズムの記憶 日常生活からみた第三帝国』
普通の人びとはナチズムをどのように受け止めたか。とある農村と炭鉱町での証言から、平凡な日常生活がナチ体制に組み込まれていく様をあぶりだす。
作者 | 山本 秀行 |
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価格 | 1650円 + 税 |
発売元 | 筑摩書房 |
発売日 | 2024年03月11日 |
さて、今回ご紹介した一冊一冊が、ナチスドイツの政策に対する様々な視点を提供し、それがどのようにして世界を左右したかを真摯に考える機会をくれる作品となっています。その中に描かれる、政治思想、社会状況、悲恋、英雄と反英雄、全てが詰まっていて、多角的に理解するための一助になることでしょう。
戦争とは、人類の悲劇であり営みであり、その中での個々の人生には胸を締め付けられるようなエピソードが数々散りばめられています。それらを通じて、形而上的な問いを我々自身に投げかけることで、自身の人間性について、社会の在り方について、ひいては人間とは何か、という普遍的なテーマについても考えることができます。
そして、何よりも大事なのは、過去の歴史、特に暗部に興味を持ち、それを深く学ぶことです。歴史は繰り返すと言われますが、それを防ぐためには過去の事実を知り、理解し、教訓を引き出すことが欠かせません。ナチスドイツの時代、そこから引き継がれてきた問題について考えることは、現代社会を理解し、より良い未来を創るための一歩です。
本はそのような深い学びのツールであり、過去の様々なエッセンスを我々に届けてくれます。今回紹介した作品を通じて、読者の皆様がより大きな視野を得られることを心から望んでおります。また、これらの作品から何か新たな発見や感動があれば、それは書き手としてこれ以上ない喜びです。
最後に、本を読むという行為が私たちにとって、ただ単に情報を得るだけでなく、新たな世界を見る旅であったり、見知らぬ他者との心の交流であったり、我々自身に敬意を表す機会であったりすることをお忘れなく。本の世界は広大で奥深く、いつでもあなたを新鮮な驚きで待っています。これからも、素晴らしい読書ライフをお楽しみください。
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